自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは? ~有効な遺言書にするための要件と注意点~
遺言書の中でも、もっとも手軽に作れるのが自筆証書遺言です。
自分の財産を、誰にどれくらいずつ分けるのかや、相続人に対する想いなど、あらかじめ自分の意思を書いて残しておくのが、遺言書です。
「自筆」という名の通り、全文を自書します。紙とペンがあれば作成できるので、遺言書の作成に費用をかけたくない場合はこの自筆証書遺言ということになるでしょう。ただし、法的な効力を持たせるためには、一定のきまりを守る必要がありますので、主なものをご紹介します。
1. 本人が自書する
本人が手書きすることを前提としていますから、代筆されたものや、パソコンやワープロを使って書いたものは無効です。
2. 日付を記載する
「平成30年6月10日」のように、年月日をすべて書く必要があり、「6月吉日」「10月」などと書いてあるものは無効です。
3. 署名、押印をする
自分の名前を書き、印鑑を押します。
【自筆証書遺言で、要件以外の注意点は?】
形式は正しくても、内容自体に不備やあいまいな点がある場合は、せっかくの遺言がムダになってしまうこともあります。
POINT.1
「すべての財産を妻だけに相続する」と書いてあっても、実際には他の相続人にも遺留分(最低限の取り分)が認められているため、全額そのままを相続することはできないことも考えられます。
POINT.2
自筆証書遺言は、作った本人以外その存在を知りません。
自分の死後、必ず見つかるような場所に置いておくか、その場所を知らせる方法を考えておく必要があります。
POINT.3
これは相続人側の注意点ですが、自筆証書遺言は、家庭裁判所での「検認」を受けなければ開封してはいけません。
自筆証書遺言の説明が中心となりましたが、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」なら、紛失や改ざん、内容の不備などの心配がなく、裁判所の検認も必要ありません。もしこれから遺言書の作成をお考えでしたら、ぜひ公正証書遺言での作成も検討してみてください。
◆自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらもメリットとデメリットがありますので、まずは弁護士にお問い合わせください。
弁護士が解説する「自筆証書遺言」とは
【遺言書はいつ作ればよい?】
自筆証書遺言にしろ公正証書遺言にしろ、ご自身が亡くなった後、相続でトラブルになりそうだという心配があるなら、遺言書は作っておくべきでしょう。
相続人が多いと、それだけでトラブルのリスクが高くなります。
相続人が2人なら、話し合いでまとまる話も、10人いれば10人分の主張をまとめるのは相当難しいでしょう。遺産分割協議で話がつかなければ、家庭裁判所での遺産分割調停、それでもだめなら審判、というように手間や時間がかかるうえ、そのための費用もバカになりません。
ただ「遺言書を作りましょう」と言っても、まだまだネガティブなイメージを持たれる方も少なくありません。「遺言書を書くなんて死ぬみたいで縁起が悪い」とか、「子どもたちを信用していないみたいで嫌だ」といったように、遺言書を作成したがらない方もいらっしゃいます。
また、病気で療養中といった場合、相続の話自体がしにくいですし、病気によって正常な判断能力が失われていれば、遺言書の作成自体ができないことも考えられます。
遺言書は、健康で元気なうちにできるだけ早く、作成しておくことを強くおすすめします。
どんな事でもお気軽に、北九州市の西日本法律事務所へご相談・ご連絡ください。